文学その5

『青空文庫』にある作品を『Google Translate』で英訳してみました。

五色蟹:岡本 綺堂(280-340)/340

あばた蟹を恐れるものも少なくなった。 Fewer people are afraid of pockmarked crabs. ところが、十年ほど前に東京の某銀行家の令嬢がこの温泉に滞在しているうちに、ある日ふとこの蟹を海岸で見付けて、あまり綺麗だというので、その一匹をつかまえて、な…

五色蟹:岡本 綺堂(237-279)/340

それとも何かほかにお心当たりのことはなかったでしょうか。」 Or did you have any other idea? " 四人のうちでは一番の年長で、容貌もまた一番よくない古屋為子が、最も年若で最も容貌の美しい児島亀江と、一緒に湯風呂のなかに沈んだのは、一種の嫉妬か或…

五色蟹:岡本 綺堂(192-236)/340

仰向けに寝て行儀悪くはだけている浴衣の胸の上に小さい何物かを発見したときに、本多は思わず声をあげた。 Honda screamed when he found something small on the chest of a yukata that was lying on his back and was ill-mannered. 「あ、蟹だ。 "Oh, i…

五色蟹:岡本 綺堂(133-191)/340

廊下をかよう女中の草履の音も響かなかった。 The sound of the maid's sandals was not heard as she walked down the hallway. かの竹垣の裾からは虫の声が涼しく湧き出して、音もなしに軽くなびいている芒の葉に夜の露がしっとりと降りているらしいのが、…

五色蟹:岡本 綺堂(74-132)/340

「田宮君、君はけしからんよ。」 "Tamiya-kun, you're not good." と、本多は途中でだしぬけに言い出した。 Honda said on the way. 「君はあの児島亀江という女と何か黙契があるらしいぞ。」 "You seem to have some kind of silence with that woman named…

五色蟹:岡本 綺堂(38-73)/340

その隣り座敷で俄かに騒ぎ始めたので、三人はそっと縁側へ出て窺うと、湯あがりの若い女達もやはり行儀をくずして何か夢中になってしゃべっていたらしい。 Because it started to make a noise in the next room, the three of them gently went out to the …

五色蟹:岡本 綺堂(1-37)/340

五色蟹 Five-colored crab 岡本綺堂 Kido Okamoto 一 One わたしはさきに「山椒の魚」という短い探偵物語を紹介した。 I introduced a short detective story called "Sansho no Uo" earlier. すると、読者の一人だというT君から手紙をよこして、自分もかつ…

拷問の話:岡本 綺堂(119-170)/170

この拷問をうけるものは、はじめは惣身が赤くなり、更に暗紫色に変じて冷汗をしきりに流し、それがまた蒼白に変じるときは即ち絶命する時であるといい伝えられているので、皮膚に蒼白の色を呈するのを合図にその拷問を中止することになっていた。 It is said…

拷問の話:岡本 綺堂(88-118)/170

彼は引きつづく拷問でよほど疲労したらしくみえるので、それから一ヵ月ばかりのあいだは吟味を中止された。 He seemed so tired from the continued torture that he was stopped scrutinizing for a month or so. あまり頻繁に拷問をつづけると、彼を責め殺…

拷問の話:岡本 綺堂(53-87)/170

しかし彼が寃罪でないことは明白であった。 But it was clear that he was not falsely charged. 吉五郎は八月十一日によび出されて、第二回の拷問をうけた。 Yoshigoro was called out on August 11th and was tortured for the second time. それは前回と…

拷問の話:岡本 綺堂(28-52)/170

かの切支丹宗徒に対する特殊の拷問や刑罰は別問題として、普通の罪人に対しては右の四種のほかにその例を聞かない。 Apart from the special torture and punishment of the Kirishitan sect, I do not hear any examples of ordinary sinners other than th…

拷問の話:岡本 綺堂(1-27)/170

拷問の話 The story of torture 岡本綺堂 Kido Okamoto 天保五、午年の四月十二日に播州無宿の吉五郎が江戸の町方の手に捕われて、伝馬町の牢屋へ送られた。 On April 12th of the 5th year of Tenpo, Yoshigoro of Banshu Mujuku was caught in the hands o…

郊外生活の一年:大久保にて:岡本 綺堂(36-100)/100

蛍も飛ばなかった。 The fireflies didn't fly either. よそから貰った蛍を庭に放したが、その光は一と晩ぎりで皆どこかへか消え失せてしまった。 I released the fireflies I got from another place into the garden, but the light disappeared somewhere…

郊外生活の一年:大久保にて:岡本 綺堂(1-35)/100

郊外生活の一年 A year of suburban life 大久保にて At Okubo 岡本綺堂 Kido Okamoto 震災以来、諸方を流転して、おちつかない日を送ること一年九ヵ月で、月並の文句ではあるが光陰流水の感に堪えない。 It has been a year and nine months since the eart…

鯉:岡本 綺堂(205-231)/231

ここまで話して来て、梶田さんは私たちの顔をみまわした。 Having talked so far, Mr. Kajita looked around our face. 「弥三郎はどうなったと思います。」 "What happened to Yasaburo?" 「鯉の腹に隠れているとは、捕り方もさすがに気がつかなかったんで…

鯉:岡本 綺堂(157-204)/231

つまりは鯉が取持つ縁かいなという次第。 In other words, it depends on the relationship that the carp has. 元来、この弥三郎は道楽者の上に、その後はいよいよ道楽が烈しくなって、結局屋敷を勘当の身の上、文字友の家へころげ込んで長火鉢の前に坐り込…

鯉:岡本 綺堂(112-156)/231

どうぞわたくしに免じて放生会をなにぶんお願い申します。」 Please do not hesitate to ask me for a life release. " 和泉屋は蔵前の札差で、主人の三右衛門がここへ通りあわせて、鯉の命乞いに出たという次第。 Izumiya was a rice broker in Kuramae, an…

鯉:岡本 綺堂(55-111)/231

で、みんなもあっとおどろいた。 And everyone was surprised. 「これは池のぬしかも知れない、どうしよう。」 "This is a pond, but what should I do?" 捕りは捕ったものの、あまりに大きいので処分に困った。 Although I caught it, it was too big to di…

鯉:岡本 綺堂(1-54)/231

鯉 carp 岡本綺堂 Kido Okamoto 一 One 日清戦争の終った年というと、かなり遠い昔になる。 The year when the Sino-Japanese War ended is a long time ago. もちろん私のまだ若い時の話である。 Of course, it was when I was still young. 夏の日の午後、…

源之助の一生:岡本 綺堂(40-85)/85

彼が小芝居に出勤を敢てしたのは、ある芝居師に欺かれたためであるというが、所詮は借金のためであった。 It is said that he dared to go to work in a small play because he was deceived by a playman, but after all it was because of debt. 人気盛り…

源之助の一生:岡本 綺堂(1-39)/85

源之助の一生 Gennosuke's life 岡本綺堂 Kido Okamoto 田圃の太夫といわれた沢村源之助も四月二十日を以て世を去った。 Gennosuke Sawamura, who was said to be the Tayu of the rice fields, also passed away on April 20th. 舞台に於ける経歴は諸新聞雑…

くろん坊:岡本 綺堂(411-468)/468

あの骸骨をあのままにして置く事はならねえ。」 You can't leave that skeleton as it is. " 何分にも屏風のように切っ立ての崖であるから、目の下にみえながら降りることが出来ない。 Because it was a cliff that was cut like a folding screen for many …

くろん坊:岡本 綺堂(364-410)/468

不思議といおうか、偶然といおうか、さきに木の上に投げ落されたときに、その片目を大きい枝の折れて尖っているところに貫かれたので、そればかりは骨となっても元のところにかかっているのであった。 Mysteriously or accidentally, when it was thrown ont…

くろん坊:岡本 綺堂(320-363)/468

見るとこの始末で、黒ん坊はほの暗い夕闇のうちに火のような目をひからせながら、無理無体に娘を引っかかえて行こうとする。 At this disposition, the black boy tries to pull his daughter in the dark dusk, with his fiery eyes open. お杉は栗の大木に…

くろん坊:岡本 綺堂(279-319)/468

別に悪い事をするというわけでもないので、ここらの山家の人々は馴れて怪しまず、彼がのそりとはいって来る姿をみれば、「それ、黒ん坊が来たぞ。」 It's not that I'm doing anything wrong, so the people of the mountain family here aren't suspicious,…

くろん坊:岡本 綺堂(226-278)/468

そのころには夜もすっかり明け放れていたので、叔父は再び注意してあたりを見まわすと、道の一方につづいている谷は、きのうの夕方に見たよりも更に大きく深かった。 By that time, the night had been completely dawned, so my uncle looked around again …

くろん坊:岡本 綺堂(178-225)/468

その声はさのみ高くもないのであるが、深夜の山中、あたりが物凄いほど寂寞としているので、その声が耳に近づいてからからと聞えるのである。 The voice is not so high, but in the mountains at midnight, the area is so lonely that I can hear it only …

くろん坊:岡本 綺堂(138-177)/468

叔父は承知して泊ることになった。 My uncle knew that he would stay. 寝るときに僧は雨戸をあけて表をうかがった。 When he went to bed, the monk opened the shutter and looked at the table. 今夜は真っ暗で星ひとつ見えないと言った。 He said it was…

くろん坊:岡本 綺堂(81-137)/468

しかも鎌倉の名刹で十六年の修業を積みながら、たとい故郷とはいえ、若い身空でこんな山奥に引籠っているのは、何かの子細がなくてはならないと叔父は想像した。 Moreover, while accumulating 16 years of training in a famous temple in Kamakura, my unc…

くろん坊:岡本 綺堂(33-80)/468

戸をたたいて案内を乞うと、僧は出て来た。 When I knocked on the door and asked for guidance, the monk came out. 叔父は行き暮らした旅商人であることを告げて、ちっとの間ここに休ませてくれまいかと頼むと、僧はこころよく承知して内へ招じ入れた。 T…